【14】矢野智司『贈与と交換の教育学』第1回レジュメ

2015/10/25 北村

序章—限界への教育学に向けて


宮澤賢治「銀河鉄道の夜」

=「さまざまな敷居をまたぎ越し、その境界線を超えるごとに、新たな生が生起する」「変態・変異・変身ともいうべき事態であり、この境界を超える以前の生とその後の生では、共約することが不可能」[3]

⇔成長・発達・社会化

◯戦後教育学

・成長、発達、社会化、共同体の再生産を目的とする

・技術知(勝田 1970)

・共約不能な生成変容は排除し、かつそのこと自体を忘却している

・オウム教団(=イニシエーション=暗い力)事件により、その限界を露呈した「教団に惹かれた若者たちを、教育(啓蒙)の不徹底の結果としてしか捉えることができなかった」[3]

→教育は本来的に「生成変容という異質な出来事を排除することのできない」[5]

→「教育学の内部であるとともに外部であり、外部であるとともに内部であるような生成変容の出来事の語り方が求められる」=限界の教育学



◯経験/体験

・経験:自分の中に取り込み、自分を(共同体の尺度に従って規定されている)高次のものへと発達させる。

・(溶解)体験:意識自体が溶解し、世界との連続性を深く味わう。「私たちは、深く体験することによって、自分を超えた生命と出合い、有用性の秩序を作る人間関係とは別のところで、自分自身を価値あるものと感じることができるようになる」[10]

→遊び、(他者の)死
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